原油・ナフサ価格高騰で家づくりはどうなる?広島で注文住宅を考えている人へ
2026.07.06(更新)
2026.07.06(更新)
「住宅価格がまた上がるって聞いたけど、本当?」
「ナフサって何?うちの家づくりに関係あるの?」
「今すぐ動くべき?それとも少し様子を見たほうがいい?」

2026年に入り、ニュースで「ナフサショック」という言葉を見かけた方も多いのではないでしょうか。中東情勢の悪化に端を発した原油・ナフサ価格の高騰が、住宅建材の値上がりや供給不足という形で、私たちの家づくりに直接影響を与え始めています。
「また価格が上がるのでは」という不安、よくわかります。
この記事では、「ナフサとは何か」という基本の説明から、住宅価格への具体的な影響、広島エリアで家を検討している方が今できることまでを、できるだけわかりやすくお伝えします。
ナフサとは、原油を精製する過程で生まれる液体の一種です。
石油というと「ガソリン」や「灯油」を思い浮かべる方が多いと思いますが、ナフサはそれとは別の用途に使われます。プラスチック・塗料・接着剤・断熱材……現代社会の製品のほとんどは、ナフサを原料とした化学製品から作られているといっても過言ではありません。
そして家も例外ではありません。
「木と土で建てるのが家でしょ」というイメージがあるかもしれませんが、現代の住宅には驚くほど多くのナフサ由来の建材が使われています。
ナフサ由来の建材
これらすべての素材が、ナフサを主原料としています。
特に近年は、省エネ基準の強化で断熱性能が求められるようになり、断熱材の使用量は以前より増えています。 ナフサの価格が上がると、これらの建材すべてに価格転嫁の波が来るのです。
2026年2月、中東での軍事衝突が激化し、世界の原油輸送の要衝である「ホルムズ海峡」の通行リスクが急上昇しました。
日本が輸入する原油の約9割は中東産です。 その輸送ルートが不安定になったことで、日本国内のナフサ価格は急騰。 2026年1〜2月に1キロリットルあたり約6万2,000円程だったのが、4月以降は11万円を超えるレベルまで上昇。数か月で約2倍近い高騰という、異例の事態になっています。出典:新電力ネット 産業用油価格の推移 ナフサ(財務省資料を参照)(https://pps-net.org/lsc_naphtha_a)
今回のナフサショックで怖いのは、価格上昇だけではありません。
断熱材メーカーは最大40〜50%の値上げを実施しつつ、過去の発注実績を上限とする「出荷制限」もかけています。 塗料・シンナーでは最大75〜80%の値上げや出荷停止の品目も出ており、屋根材・ルーフィング・塩ビ管も軒並み値上がりしています。
さらに2026年4月には、住宅設備大手のTOTOとLIXILが相次いでユニットバスの新規受注を一時停止するという、業界では前例のない事態まで発生しました。(6/26現在、TOTOでは全面解除、LIXILでは段階的な解除が行われています。)

家づくりは、打ち合わせ開始から完成まで数か月〜1年程かかります。 その間に建材の価格が上がると、当初の見積もりと実際の建設コストに差が生じることがあります。
特に注意が必要なのは以下の場面です。
ある住宅アドバイザーは「審査の段階では、現在の見積もりより100〜200万円多めの金額で本審査を通しておくとリスクヘッジになる」とアドバイスしています。 これは変動する市場の中での現実的な備えです。

建材の供給制限がかかると、工期が当初の予定より延びることがあります。
特に断熱材・屋根材・配管材・設備機器は影響を受けやすい品目です。 引き渡し時期が変わると、仮住まいが延びたり、住宅ローンの実行タイミングがずれたりと、生活全体に影響が出てきます。
工務店と「工期に変動があった場合の対応」を事前に確認しておくことが大切です。
広島エリアで家を建てる場合、全国共通の建材高騰に加えて、地域ならではの条件にも考慮が必要です。
広島は夏の気温が高く、近年の猛暑もあって断熱性能へのニーズが高い地域です。断熱等級の高い家を建てたい場合は、断熱材の使用量が多くなるため、ナフサショックの影響をより受けやすい傾向があります。
廿日市・東広島・安佐南・海田・府中町など、車移動が前提の広島郊外エリアは、土地価格がまだ手が届きやすい反面、建物にかかるコストが読みにくくなってきています。 土地と建物のバランスをどう取るか、早めに相談することが重要です。
広島は共働き世帯の割合が高いエリアです。 二人で働いているうちに住宅ローンを組みやすい時期に動くのか、それとも生活が落ち着いてから動くのか。 資金計画のタイミングは、世帯収入の状況によって変わります。
広島は土砂災害リスクのある地域も多く、地盤改良・外壁材の選択・排水設備など、安全に関わるコストをしっかり確保する必要があります。 「安さだけ」で判断すると、この部分が削られるリスクがあります。
「待てば下がるのでは?」という考えはもっともです。ただ、状況を整理すると必ずしもそうとは言えません。
2021〜2022年にかけて起きた「ウッドショック」では、コロナ禍で木材の供給が世界的に滞り、住宅価格が一気に上昇しました。
当時「少し様子を見よう」と判断した方の多くが、結果的にさらに高くなった価格で建てることになったという経緯があります。 今回のナフサショックと過去のウッドショックは発生原因こそ違いますが、「待てば戻る」という楽観的な見方が外れた、または外れるだろうという点ではという点では共通しています。
業界の見方として、「構造的な円安」「製造時のエネルギーコスト増」が続いているため、価格が以前の水準に完全に戻る可能性は低いとされています。
とはいえ、「今すぐ決めなければ」という焦りも禁物です。
住宅は人生で最も大きな買い物の一つ。高騰しているからといって不十分な計画で急いで決断するのは、別のリスクを生みます。
重要なのは、「自分たちの資金・ライフプランに合った判断を、正確な情報をもとにすること」です。
実はタイミング以上に大切なのが、どの工務店と組むかです。
ナフサショックのような混乱の時期は、建材の仕入れルートを持っているかどうか、資材不足にどう対応するかといった経験と体制が工務店によって大きく異なります。
「価格が上がっても、どう対応してくれるのか」を最初から話せる工務店かどうか、これが家づくりの肝になります。
建築費が気になる方は、まずは住宅会社に相談してみませんか?
| 影響項目 | 内容 | 深刻度 |
| 断熱材(ウレタン・スチレン等) | 40〜50%値上げ実施済み | 高 |
| 塗料・シンナー | 塗料全体10~30%前後、シンナー最大75~80%値上げ・一部出荷停止 | 高 |
| ルーフィング(屋根防水材) | 40〜50%値上げ実施済み | 高 |
| 塩ビ管(配管) | 12〜20%値上げ | 中 |
| ビニールクロス・クッションフロア | 値上げ傾向 | 中 |
| ユニットバス・住宅設備 | 一時受注停止(現在は再開)・供給遅れ | 中〜高 |
| 接着剤(集成材・合板用) | 値上げ傾向 | 中 |
| 工期 | 資材遅延による延長リスクあり | 中 |
| 見積もり金額 | 打ち合わせ中に変動する可能性あり | 中〜高 |
見積もりは変動する前提で、住宅ローンの審査は少し余裕を持った金額で通しておきましょう。 使わなければ後で減額すればいいため、リスクへの備えとして有効です。
「子育てエコホーム支援事業」や「ZEH補助金」など、省エネ性能の高い住宅への補助金制度は2026年現在も継続しています。 住宅ローン控除も省エネ基準を満たす住宅への優遇があります。 建設コストが上がっている今だからこそ、補助金を最大限活用する設計が重要です。
「まだ具体的じゃないから…」と思っていても、情報収集の段階から相談を始めることで、価格の見通しや対応状況を比較できます。 複数の工務店の話を聞いて、建材の仕入れ状況や工期の見通しを確認しましょう。
他の家族がどんな仕様で、どのくらいの予算で建てたのか。 施工事例はその工務店の「実力と誠実さ」が見える場所です。 コストが厳しい時期だからこそ、実例からリアルな感覚を掴みましょう。
広島郊外エリアは土地価格が相対的に低いため、その分を建物の断熱・耐震性能に回す戦略が取れます。 建材コストが高い今、「どこにお金をかけるか」の優先順位を整理することが大切です。
ナフサショックのような状況では、「今すぐ決めないと間に合わない」「このままでは100万円以上上がる」といった、不安を煽る言い方をする業者も残念ながら存在します。
以下の点に注意してください。
信頼できる工務店は、不安をあおるより「こういう状況だから、一緒に対応しましょう」と具体的に話してくれます。 モデルハウスや完成見学会などで、現場の雰囲気を実際に確かめることも大切です。
2026年のナフサショックは、住宅業界にとって無視できない問題です。 断熱材・配管・塗料・設備機器など、石油由来の建材が連鎖的に値上がりし、工期への影響も出ています。
ただし、正確な情報を持つ信頼できるパートナーがいれば、今の状況でも賢く家づくりを進めることはできます。
焦る必要はありません。ですが、「待てば必ず良くなる」という保証もありません。 今の自分たちのライフプランと資金状況をベースに、一歩踏み出して情報収集を始めることが、いちばんの近道です。
広島で建てた家の「リアル」を見てみませんか?
価格が変動するいまだからこそ、「どんな仕様でどう建てたか」という実例が参考になります。広島エリアの工務店が手がけた施工事例を、間取り・仕様・こだわりポイントとともに公開中です。
まだ検討段階でも大丈夫です。どんな小さな疑問でも、地元の工務店に気軽に相談してみてください。
執筆者:ひろしまの家編集部
広島県に特化した住宅情報誌「ひろしまの家」(2018年創刊)をはじめ、地域密着型の住宅雑誌を手がける編集チームです。
創業約40年、累計500冊以上の発刊実績を持つ出版社として、地場工務店の施工事例や家づくりの知識を取材・発信し、広島の住まいづくりを支えています。